今日のことば。2026.3.5
『あわいの対話』瀬尾夏美(岩波書店「図書 2026.3」)
桜の花で思い出すのは、十五年前の春に大津波が到達した地点へと桜を植えていくプロジェクトで、いま陸前高田のまちでは春になると、桜色の線がやわらかく浮かび上がる。それは、自然と人の住処とのあわいの領域を可視化し、自然そのものの持つ力の大きさを思い出させてくれる。あの日、巨大な波がコンクリートの堤防を破壊し、まちを攫い、多くの人が亡くなった。だからのこの桜の花は弔いでもあり、死者と生者はそのうつくしい場所で、ひとときの交流を楽しむ。
