【今月の(仏教)書】「思想としての法華経展」図録 [監修] 植木雅俊

【今月の(仏教)書】住職が月1回、棚からひとつかみ、比較的読みやすく、比較的安価で、地方の本屋でも手に入りやすいような「(仏教?)書」を紹介します。住職読了後は、「ぎんなん文庫」へ寄贈しておりますので、どうぞご利用ください。

「思想としての法華経展」図録

(2021年11月 第1刷発行/制作:京都佛立ミュージアム/著作:本門佛立宗/発行者:本門佛立宗宗務本庁)

[監修] 植木雅俊
1951(昭和26)年、長崎県生まれ。仏教思想研究家。九州大学大学院理学研究科修士課程修了(理学修士)、東洋大学大学院文学研究科 博士後期課程中退(文学修士)、91年から東方学院で中村元氏のもとでインド思想・仏教思想論、サンスクリット語を学ぶ。2002年、お茶の水女子大学で人文科学博士号を取得(男性初)。『梵漢和対照・現代語訳 法華経』上・下巻(岩波書店、2008年)で毎日出版文化賞を受賞。日本ペンクラブ会員、日本印度学仏教学会会員、仏教思想学会会員、比較思想学会会員

令和3年7月10日(土)~令和4年2月16日(水)まで、京都佛立ミュージアムにて開催中の「思想としての法華経展」図録です。

「思想としての法華経展」

東西の古代文明が行き交う西北インドで成立した『法華経』には、異なる宗教、異なる民族の対立という試練を乗り越えるための寛容の思想が満ちあふれています。植木雅俊氏がサンスクリット原典からの緻密な読解を通して画期的な現代語訳を成し遂げた著作『思想としての法華経』(岩波書店)をもとに、共存と融和を希求する思想に込められた『法華経』の今日的な意義を問う企画展です。
さらに、令和4年に迎える日蓮聖人ご生誕800年を記念して、日蓮聖人がどのように『法華経』を読み解かれたかも紹介いたします。

監修は、サンスクリット原典から法華経を和訳された『法華経 上―梵漢和対照・現代語訳法華経 下―梵漢和対照・現代語訳』の植木雅俊先生。NHK100分de名著「法華経」の回の講師をされていたことでご存知の方も多いかもしれません。最近では、『日蓮の手紙 ビギナーズ 日本の思想 (角川ソフィア文庫)』にて、日蓮聖人の数々のお手紙をまるで息遣いが聞こえるように紹介されておりました。

図録では、植木雅俊先生の紹介をはさみながら、「仏教ってなに?」「法華経ってなに?」「信仰としての法華経へ 日蓮」と絵や写真、図などを使いながら、とても細かく、深く、その上、分かりやすく今回の企画展の内容、つまり仏教や法華経の内容、日蓮聖人の思想や生涯を紹介されています。しかも文字が大きいのでとても読みやすいです。巻末の特別付録である「植木雅俊先生第一回講演<原始仏教・法華経・日蓮>との出会い 講演録」の内容には感動しました。これだけでもこの図録の価値はあるのではないかと思いました。

ぎんなん文庫」に置いてありますので、お参りの際は、どうぞご自由にお読みください。