【日蓮聖人が遺した言葉】月こそ心よ花こそ心よ

日蓮聖人が遺した言葉

月こそ心よ
花こそ心よ

事理供養御書/建治2年(1276)聖寿55歳

解説

=本当の心=

 月を見て美しく感じ、花を愛でて気持ちがなごむのは、私たちの心がそれらと呼応するからです。すなわち、私たちの心にはすでに月は美しいもの、花は愛らしいものと感じる清らかな心があるからです。
 しかし、私たちは忙しい生活を送るうちに、知らず知らずなごやかさや穏やかさを失い、美しく清らかな心の存在を忘れてしまいます。
 そんなとき、合掌すれば、あなたの心の奥にしまわれている月や花を呼び起こし、私たちがもつ本当の心を取り戻すことができるのです。

『事理供養御書』

 このご遺文は信徒からのお供え物に対しての礼状です。
 財(宝)のなかで《いのち》こそが、一番であると示され、過去に雪山童子という修行者が教えを授かるために自らの《いのち》をささげた行動が、信仰の姿だと述べらました。
 しかし、それは現実として無理なことです。そこで日蓮聖人は、「人として正しく生きる」という《志し》を立てることが大切とされ、私たちがこの教えを信じたとき、営みのすべては仏さまの教えの世界になると示されました。

〜日蓮宗ポータルサイト「今月の聖語」より