【日蓮聖人が遺した言葉】この土は本土となり

日蓮聖人が遺した言葉

この土は
本土となり

『開目抄』/文永9年(1272)聖寿51歳

解説

=自分には見える花を=
草はU字溝のわずかなすき間からも元気に芽を出します。この草にとって生きる場所はこのすき間で、場所を移すわけにはいきません。まさにこの場所で一所懸命に生きているのです。
でも人間の場合は、どうしようもなく辛かったら、逃げたっていいんです。1つの場所で生きることを「一所懸命」といい、それも1つの生き方ですが、何がなんでもそこで頑張らなくてもいいんです。今生きているこの広い世界こそ私たちが幸せになれる所だからです。取り巻く環境によってはうまくいかなかったり、思い通りにいかないこともあるでしょう。それを乗り越えてその場所にとどまる人もいれば、違う場所で再起を目指す人もいます。どちらも同じです。人間は生きるだけで十分頑張っているのですから。それぞれの生きる場所で、他人には見えなくても自分には見える花を咲かせてください。

日蓮聖人御遺文『開目抄』
私たちが生活する「今」を救う方法を、みんなに理解してもらおうと書かれた一書です。生きているこの世界こそが、人間が真の幸せを得られる場所だと示されています。
文永9年(1272)聖寿51歳

〜日蓮宗ポータルサイト「今月の聖語」より