【今月の(仏教)書】「あなたは尊い〜残念な世界を肯定する8つの物語」[著]やじまけんじ/佐渡島庸平/日蓮宗

【今月の(仏教)書】住職が月1回、棚からひとつかみ、比較的読みやすく、比較的安価で、地方の本屋でも手に入りやすいような「(仏教?)書」を紹介します。住職読了後は、「ぎんなん文庫」へ寄贈しておりますので、どうぞご利用ください。

あなたは尊い〜残念な世界を肯定する8つの物語

(2022年3月4日発行/徳間書店)

[著]
やじまけんじ
漫画家。 20歳から10年間のフリーター生活を経て、2017年よりツイッター上で漫画を発表しはじめ、現在にいたる。ウェブトゥーン制作会社コルクスタジオに所属し、原作をネームに描き起こす「ネームマン」としても活動している。21年からLINEマンガで『お化けと風鈴』連載中。
佐渡島庸平
株式会社コルク代表取締役社長。編集者。 1979年生まれ。2002年、講談社に入社し、週刊モーニング編集部にて『ドラゴン桜』(三田紀房)、『働きマン』(安野モヨコ)、『宇宙兄弟』(小山宙哉)などの編集を担当する。12年、講談社を退社し、クリエイターのエージェント会社・コルクを創業。著名作家陣とエージェント契約を結び、作品編集、著作権管理、ファンコミュニティ形成・運営などを行う。
日蓮宗
開祖である、日蓮聖人(1222年2月16日~1282年10月13日)の名前を冠した宗派。現在、日蓮宗の寺院は、国内5131ヵ寺、海外25ヵ寺で活動を展開し、その規模は、日本の伝統仏教教団中5番目に位置づけられる。総本山は、山梨県内の身延山久遠寺、事務所は東京都大田区池上。

今月紹介する『あなたは尊い〜残念な世界を肯定する8つの物語』は、編集者として『バガボンド』、『ドラゴン桜』、『働きマン』、『宇宙兄弟』など、今まで多くの人気漫画を世に送りだしてきた株式会社コルク代表佐渡島庸平氏と、日蓮聖人降誕800年青少幼年サミットPTが中心となって監修され、漫画家・やじまけんじ氏によって描かれた日蓮聖人の漫画になります。

日蓮聖人の漫画というと、宗祖の一生を時代順に描くような構成をイメージするかもしれませんが、本作はタイトルに示されておりますように、800年前から現代までも続く、普遍的とも言える私たちの生きづらさを「死別」、「青春」、「人間関係」、「老いと死」、「憎しみ」、「信念」、「親子の情」、「人間の弱さ」の8編に分け、それらの苦しみに日蓮聖人がどのようにして向き合っていたかが漫画で描かれています。また、それぞれのストーリーに付帯するコラムには日蓮聖人のご遺文も引用しながら解説されています。

「あなたは尊い」が全編通してのテーマ。この困難な時代を生きぬくヒントが何か見つかるかもしれません。

ぎんなん文庫」に置いてありますので、お参りの際は、どうぞご自由にお読みください。

悩めるの現代人に贈る、珠玉の仏道マンガ『あなたは尊い 残念な世界を肯定する8つの物語』発売のお知らせ(日蓮宗ポータルサイト)

日蓮聖人降誕800年――
「現実から逃避しない。このマンガはあらゆる悩みと向き合う経典になりうる」
(佐渡島庸平/コルク代表取締役社長、編集者)

この受難の現代をどう生きるか?
人生で直面するさまざまな試練をどう克服するか?
答えは法華経のなかにある。

「死別」「青春」「人間関係」「老いと死」
「憎しみ」「信念」「親子の情」「人間の弱さ」
悩める現代人に贈る、珠玉の短編マンガ8編。

【あらすじ】
800年前、鎌倉時代――。
そんな昔にも、いまの私たちと同じ苦しみがあった。
大地震が続き、疫病が流行し、さらに大飢饉に見舞われた。
絶え間ない苦しみが、この世界を覆った。
苦しみに耐えかねた人々は、信じれば『来世で幸せになれる』という念仏をとなえた。
「ナムアミダブツ」「ナムアミダブツ」
でも、本当にそれでいいのか?
人は「この世でも」幸せになるべきなんじゃないか?
「いまも」幸せのために生きているんじゃないか?
800年前の日本に、そう人々に説き続けた1人の僧侶がいた――。

【目次】
■第1話 悲しい別れ
最愛の夫を喪った女は生きる気力を失っていた
■第2話 才能ってなんだ?
若者は引きこもり、何をすべきか途方に暮れていた
■第3話 思いが伝わらない
真面目で誠実な男。しかし周囲から孤立してしまう
■第4話 死の恐怖
病に苦しむ老人はどうしても死の恐怖を克服できない
■第5話 憎しみの正体
男は自分と意見の相容れない相手に刀を振りあげた
■第6話 恩返し
信念を曲げてしまった老師は愛弟子をまえに口ごもる
■第7話 お母さんの味
いつか訪れる親との死別。その悲しみの先にあるもの
■最終話 人間は弱い。でも…
人は弱く、時にずるい。全部ひっくるめて人間は尊い